特別寄稿コラム「タイジロード」
タイジロード No.12 「魔法の絨毯車椅子」
人工呼吸器のジンコちゃんの力を借りなくていいようになり、数カ月に及ぶベッド上での生活から解き放たれる日は突然やってきました。その日、看護師さんが「タイくん車椅子乗ってみようか?」と、車椅子をガタガタと運んできました。急な展開に驚きつつも「うん。うん。乗る!乗る!」と初の車椅子にワクワクドキドキして答え、車椅子を見てみると、自分が知っている車椅子の姿とはちょっと違う、ゴツくてデッカイ一風変わった車椅子がベッドサイドに置いてあったのです。
どこが変わっているかというと、通常の車椅子のような大きなタイヤでなく、4つの大きなキャスターが付いていて360度自由に動けるようになっており、ひじ置きはスポーツカーのドアのようにガバッと開き、サイドから乗り降りしやすくなっているというところ。さらに、それ以上に目立っていた最大の特徴が、まるで“手動かき氷機”のような謎のハンドルが車椅子の横にくっついているということでした。
謎のハンドルの正体がわからぬまま、わちゃわちゃと車椅子移乗のスタート。僕はベッドに寝ている状態なのでどうするのかと思ったら、車椅子の背もたれがバタリと倒れ、真っ平の状態に変形。「こんな機能もあったのかい!」と、驚いている暇もなく、車椅子はキャスター効果でベッドの真横にピッタリくっつけられ、ひじ置きもオープンされ準備万端。
さあここから皆でよいしょと移動させるのかと思ったら、ついに謎のハンドルの出番がやってきた!看護師さんがハンドルをグルグル回すと、何が起こるのかキョロキョロしていると、車椅子の座面から背もたれにかけての部分に敷かれていたツルツルの絨毯のようなモノが、ニョキニョキと横に飛び出てきました。さらに、ハンドルをグルグルしまくると、ツルツルの絨毯は僕の体の下にスルスルと入っていき、完全に体は絨毯の上に乗っかった状態にっ!そこまでいったら、今度はハンドルを逆向きにグルグル、グルグル。まぁ、なんてことでしょう!絨毯と共に僕の体が車椅子の上に移動してしまったのでした。
そう、謎のハンドルの正体は、車椅子とベッドの間、僕を乗せて送り迎えしてくれるツルツル絨毯を動かすハンドルだったのです。このおかげで、この変わった車椅子に乗る時は、人の力で持ち上げられよりも負担がかからず、魔法の絨毯に乗っているかのようにすぅ~と移動でき楽ちんでした。こんな便利モノ発明してくれた人に感謝っ!ただ、どうしても毎回、移動している時は映画『アラジン』の曲が頭の中に流れてしまうのでした…。


