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長岡市小児科 キャッツこどもクリニック 日曜診療あり

オリンピックの思い出

オリンピックの思い出

 

モスクワオリンピックがボイコットとなった年のことである。

ボイコットの意味も全く分からない小学生だった私は

秋の夕暮れ、父と小学校のグランドで陸上練習をしていた。

少年少女オリンピックという地域の陸上大会に出場が決まったからである。

しかし、トレーニングということも知らず、ただ走り回るだけのつまらない練習だった。

 

まだ子供だったのである。

「お父さん、オリンピックで金メダルを取ったらさ、お金持ちになれるかなあ」

とか

「オリンピック選手は長生きできるの?」

という幼稚な質問を父にしていた。

父は

「そうだなあ。お金持ちにはなれる。」

「だけど、体に無理をするから早く死んでしまうんじゃないかな」と父は言った。

なんだか、急に怖くなって

「早く死んでしまうのなら、オリンピックになんかでなくていいや」

と言ったことを覚えている。

練習なんかしないで、とっとと自宅に帰ってアイスクリームを食べてテレビを見ていた。

練習なんかしなくても村で一番足の速い私は大会でもブッチギリの一着を夢みていた。

しかし、現実は厳しい。

大会当日は異常に緊張してしまい、100メートル走は予選落ちとなってしまった。

ド緊張していたのだ。その証拠に入場行進では右手と右足が一緒に前に出る始末。

勝てるはずがないのである。

(早く死んじゃ、いやだから、いいや、別に。オリンピックなんて出なくていいや。)とうそぶいて、アイスクリームを舐めていた。

今はテレビでアスリートを尊敬の眼差しで見ている。そこにはお金では決して買えないものがキラキラと眩しく映っているからである。私には届かない。お金では買えないものだらけである。

メダルだったり、涙だったり、若さだったり、友情だったり、青春だったり、くやしさだったり、ドキドキだったりもします。ほんとにありがとう。

 

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