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長岡市小児科 キャッツこどもクリニック 日曜診療あり

爪を切る  

爪を切る

 

時々なんだけれど、大学の先輩の経営している大病院に当直のお手伝いに行くことがあります。

90歳以上の大往生の看取りが大半だけれど、身が引き締まる思いです。人生の大先輩の最後に立ち会わせてもらうなんて。そして、最初に出会った日がお別れなんて、一期一会というものでしょうか。

 

心停止で呼ばれて、白衣を羽織る。病室に入り、心音を聴いて、頸動脈を探す、瞳孔に光を当てて、反射の無いことを確認する。そして、死亡宣告。時刻を告げて終わり。

頭を下げて、患者さんのまぶたを閉じる。死亡確認の時は目が開いていることが多い。瞳孔に光を入れた後は目を閉じさせていただく。

死んだ人の目蓋を指で閉じるだけの行為、そのためだけに僕は指を爪を綺麗に清潔にしています。節々がゴツゴツしていてかっこ悪い指だけれど、親からもらった指なのでしょうがないです。

先日、看取った我が家のネコちゃんの目蓋も閉じてみたが、上手く目は閉じずにいました。少し濁った水晶のような目が、羨ましそうに天空をみていました。

散瞳しきっていた目を儀式的に優しく閉じる。そんな行為が好きです。好きというか嫌ではありません。死人の眼圧に興味はありませんが、死人の視野には興味があります。

僕の指は爪は見えていますか?

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