院長先生のブログ
ARI(急性呼吸器感染症)が5類感染症になったそうです。
ARI(急性呼吸器感染症)が5類感染症になったそうです。
鼻水、鼻づまり、咽頭痛などいわゆる風邪症状が一つでもあれば、急性呼吸器感染症(ARI)として、届け出をしなさい、という法令のようです。
先日、新潟県福祉保健部が行う医療機関への説明会がありました。
説明会では納得いかないことばかりでした。
急性呼吸器感染症として(いわゆる風邪症候群)の発生数届け出は「発生数を国が把握するため」であり、「ARIに罹患した国民患者対策のため」ではありませんでした。
ならばARIの届け出はARIになんら寄与しない、と感じました。
麻疹風疹水痘ならば、届け出により、対策ができるために、麻疹風疹水痘患者に寄与できる。すなわち意味がある、と思います。
それで、不満なのは、福祉保健部の説明です。
- 「他の都道府県でもやっているからやれ」(同調圧力)とか「ボランティア精神でやれ」とか、「コロナの時のように【オール新潟】でやれ」(昭和根性論)という、幡だけ振りかざす上意下達のやりかたです。現場を知らない奴に腹が立つ。(ほかの都道府県との比較なんかしてるからダメなのさ)
- たとえて言うなら、定点の警察官が、万引きでもしそうな挙動不審な人に手当たり次第職質して、それらを男女別年齢別に国に逐一届け出ろ、と一緒でしょ。凶悪犯罪が起きている最中、現場が混乱していようがなかろうが、一律に届け出しなさい。不審者発生数を把握するために。そんなことをしても不審者発生対策にはなんら寄与しない。
- その説明会でのボクの質問は2つ。
1)百歩譲って、「男女別に届ける意味がありますか?」ということ。県から返答は来ていない。
2)「届け出することによりいただける具体的な手数料(手当)を教えてください。」との質問に「ボランティア精神で」とのこと。
意味不明です。
(うちのスタッフに聞きました。
『無料だけど、サービス残業になるけど、やってくれる?』と聞いたら、
『そんなんだったら、クリニック辞めます。』と言われました。当院の大切な人的資源をなんだと思っているのだ。)
どうしてもARIのデータが欲しいのなら・・・。
〇国際的にARIを各国が把握しているから、日本もやれ、というのならば、全国共通のプラットフォーム(つまり、セキュリティ対策のしっかりした無償の国配布の電子カルテ)を用意して、自動的に男女年齢データを抽出しなさい!
そうしたら、「鼻水」「咽頭痛」で国が検索すれば自動的にデータ抽出できます。
そんなデータあつめて、どうするの?
臨床現場はそんなに単純で甘いものではありませんよ。なめんなよ。
(ボクの知っている数名の先生はボクと同じような意見を出して、質問してくれました。黙っていた先生は了承したのか?不満はないのか?黙っていたら、理解賛同了承したことになるぞ。)
- 今後の地域医療にとって大事なことです。ようくようく考えてください。