院長先生のブログ
本によって、人生を与えられた
本によって、人生を与えられた
高校2年の夏、長期入院を強いられた僕は、鬱っぽくなって、何事にもやる気を失っていた。
どうせ勉強はわからないし、理数科の同級生にはついていけないし、留年してもいいやと思って、勉強なんかせずにいた。
長岡中央綜合病院病室の天井ジプトーンだけを毎日ボウッとみながら過ごした。
であるが、そんな中でも飽きもせず毎日読んでいた書籍が今もボロボロになって、ボクの本棚にある。
宮本輝著『錦繡』である。
NKHラジオで『錦繡』(朗読の世界)が始まった。(朗読の世界)
毎日、胸躍らせ聴いている。
もう40年近く前の自分が蘇ってくる。
ボクは本によって、人生を変えられた一人の凡人であり、
宮本輝さんには感謝しかない。
宮本輝さんが小説を苦労して書いてくれた。それこそ紡ぎ出してくれなければ、ボクの人生は今のところにはない。
『錦繡』は人生論ではないけれど、今でも、これからも僕の本棚の一番の特等席にいる。
ボロボロになってたたずんで見守ってくれている。
背表紙を眺めると気持ちだけ、高校生に戻ってしまって、胸が痛くてつらくなる。

