院長先生のブログ
超低出生体重児の誕生
超低出生体重児の誕生
血の匂いがする羊水を素早くふき取る。
見たこともない喉頭蓋を冷たい銀のブレードで手繰り寄せて、
優しく丁寧に挿管チューブを近づける。
細く頼りない気管を見定めて、
チューブの先端をコリっと差し込む。
バッグを揉むと赤ちゃんの胸がほわっと膨らむ。
その瞬間、紫色の赤ちゃんが真っ赤に燃える。
神様が息を吹き込んだかのようだ。
そして、糸のような血管に点滴ラインを入れてから、
暖かいクベースで温める。
見たこともない小さな爪や、見たこともない細く金色の産毛。
やがて、赤ちゃんが目をあける。
目を開けて初めて見る人間が自分だと思うと、恐れ多くなる。
神様でもなんでもない、ただただ、恐れ多くて謝る。
そして、小児科医としての仕事に感謝する。
そのような充実した日々が確かにあった。